研究紹介

 新幹線の最高速度向上に際し、問題となってくるのが、架線とパンタグラフが離れる離線現象です。パンタグラフは架線を支えている支持点、ハンガ、その他の区間を高速で通過します。列車が高速ほどパンタグラフは、その特性の変化に対応できず離線が起こりやすくなっています。

 現行ではパッシブなパンタグラフが用いられています。そこにアクチュエータを搭載して制御することで離線を防ぐことを目指しています。その中で当研究室では、架線とパンタグラフ間に働く接触力を一定値に保つための制御器設計手法を研究しています。

現在の新幹線の多くは上図のようなコンパウンドカテナリー式と呼ばれる構造を取って、パンタグラフの通過地点によって、架線の性質が変化します。このような系をどのように数学モデルに落とし込むかも研究中です。
 研究対象のパンタグラフの概略図です。パンタグラフの根元に空気圧アクチュエータを搭載しています。指定電圧を入力することでパンタグラフが上昇下降する仕組みになっています。

 イメージをつかむために、簡単な模型を作りました。輪ゴムでパンタグラフを上げています。
 リンクも再現しています。シングルアーム型と形は異なりますが、数学モデル上では同様に扱うことができます。
実際の研究には、実物の新幹線用シングルアームパンタグラフを用いています。現状では、実験対象のパンタグラフの動特性解析、理論的な架線・パンタグラフの動特性解析、制御器設計を並行して行っています。