研究紹介>可変ギア機構を有するパワーステアリングシステムの制御
可変ギア機構を有するパワーステアリングシステムの制御
自動車のステアリング~タイヤのシステムについて研究しています。自動車を運転中、同じ量だけハンドルを切ったとしても、低速時にはより多くの旋回をさせ、高速時にはあまり旋回させないというシステムを作ることが目標です。
これが自動車に搭載されると、駐車場などの低速時ではたくさんハンドルを切る必要がないので、駐車が容易になります。一方、高速時ではタイヤがあまり切れないため、少しのハンドル操作で進路が変わってしまう事がなく、安全性が向上します。
例えば、高速道路を運転中に熱いコーヒーをこぼしてしまい、思わずハンドルを動かしてしまっても多少は大丈夫というわけです。
つまり、ハンドルの回転角度+VGRモータの回転角度がタイヤの方に伝わっていくことになります。このロータの回転を制御することよって可変ギア比を作り出します。
しかし、このままだとハンドルが重くなってしまうので、従来のようにEPS(electronic power steering)モータのアシストによってドライバーのハンドル操作を軽くする構造となっています。
様々な可能性を秘めた機構ですが、2つのモータを用いた多入力システムで、また路面からの外乱・ドライバが感じるステアリングのフィーリングなど、考慮すべき項目が多々あります。このため制御器設計が難しくなっています。
どんな車にも適用できるシステマティックな制御器設計法の確立を目指しています。
実験装置
手前がステアリングホイール、奥が出力軸側になります。
左側の黒いのがEPSモータ。中ほどの銀色のものがVGRモータで、トルクを稼ぐため2台搭載されています。
出力軸側から。角度はエンコーダでセンシングします。
EPSモータの制御装置。真ん中の手作り配電盤に指令電圧をかけることで任意のトルクを得ます。
VGRモータの制御装置です。同様に指令電圧をかけることで任意の電流を出力できます。出力を稼ぐために電源はバッテリーを使用しています。
制御のほかに自動車の勉強もします。先輩の論文にはなにやら怪しい行列が……